「……僕は今、君のおふざけに付き合ってる余裕はない。死にたくなければ吐いた方が身のためだよ」

クラルが魔法を解くと、ユーゴの体が地面に叩き付けられる。ユーゴは激しく咳き込んでいた。その目には涙が浮かんでいる。

クラルはユーゴに大股で近付くと、彼の胸ぐらを掴んで無理やり立たせた。そして力任せに壁に叩き付ける。

「ほら言って？次はこの程度じゃ済まないよ？」

クラルは怒りを含んだ声で言う。看守はまるで凍り付いてしまったかのように動かない。ユーゴはただ体を震わせていた。その顔は涙と鼻水でグシャグシャに汚れている。

クラルが一歩近付くと、ユーゴの体がびくりと大きく震えた。その目は完全に恐怖に支配され、萎縮してしまっている。少し前まで軽口を叩いていた男には見えない。

「言う！言うから。だからもう勘弁してください……」

ユーゴは嗚咽混じりに言った。その言葉を聞いた刹那、クラルの顔に穏やかな笑みが戻る。彼はゆっくりと椅子に座った。