そんなルーチェの内心を察したのか、ツヤとギルベルトが口を開く。

「僕たちはアレス騎士団。それなりに色々見てるからね」

「お前みたいな奴に会うのは初めてじゃないからな」

「は、はぁ……」

アレス騎士団とは一体どんな組織なのか。ギルベルトたちは何を見たのか。気になることが生まれていく。

「とりあえず、君のことはアレス騎士団で保護しよう」

ギルベルトの言葉にルーチェは「ありがとうございます」と言い、頭を下げる。異世界に当然知り合いはいない。保護を申し出てくれる人がいるのは素直にありがたいとルーチェは思った。

「ルーチェくん、よろしくね!わからないことがあったら何でも聞いて!」

イヅナがルーチェに笑いかける。ルーチェも「よろしくお願いします」と微笑んだものの、その心の内側には、元の世界に戻れるのかという不安が渦巻いていた。

(クラル様……)

クラルの顔を思い浮かべ、ルーチェは拳を握り締めた。