「もしかしてそれって、人を透明化させる薬?鎖を飲んだ本人が願った時間・本人が透明になりたいと思った時に透明になれるんだっけ」

「うん。材料が揃ったから作ってみようと思って」

「完成したら僕に試させてよ!」

クラルは楽しそうにはしゃぐ。まるで宝物を見つけた子どものようで、ルーチェはフッと笑ってしまう。穏やかな時間だ。

「ところでクラル様、僕に何か用事があったんじゃないの?」

「あっ、そうだった。父様たちが呼んでるんだ。一緒に行こう」

クラルと共にルーチェはクロード・ディスペアの元へと向かう。クロードはノア・ディスペアと共に書斎にいた。書斎にいる彼は、険しい顔で机の上に置かれた何かを見つめていた。

「父様」

クラルが声をかけるとこクロードはゆっくりと顔をあげる。しかし、その顔はまだ険しいままだ。ルーチェは何を見ているのかと彼の手元に目を向ける。懐中時計のような機械がそこにはあった。

(これは何だろう……)