アレス騎士団・団長であるギルベルト・エーデルシュタインの屋敷の一室にて、男の子はベッドに寝かされていた。意識が戻らないまま二日が経とうとしている。

イヅナは屋敷の廊下を足早に進む。空から降ってきた男の子が心配で、任務が終わった後に様子を見に来てしまうのだ。

「イヅナ。今日も来たの?」

ギルベルトに声をかけられ、イヅナは「はい」と頷く。彼はイヅナの隣に並んだ。

「僕も一緒に行くよ」

「いいんですか?お忙しいんじゃ……」

「今はイヅナと一緒にいる時間だから」

ギルベルトは楽しそうに笑い、イヅナの手を優しく取る。そのまま二人は男の子がいる部屋へと入った。客人用の大きめのベッドに男の子は寝かされている。その目は変わらず閉じたままだ。

「ツヤさんは外傷による意識消失ではないと言っていましたけど……」

「心配だね。色々と聞きたいことはあるんだけど」

ギルベルトが懐から何かを取りました。それは、空から男の子と同じように落ちてきた懐中時計のようなものである。