指輪はすんなり決まった。
俺と澪の希望が一致してたし、澪から「これがいい」ってのを聞いてたし。
できるまで数カ月ということなので、注文だけして店を出る。
近くのカフェに寄ったら、澪はメニューを真剣な顔でめくっていた。
「何悩んでんの」
「このパフェが美味しそうですが、食べきれる気がしなくて」
「残ったら俺が食うから、好きなの食えよ」
「ありがとうございます! 飲み物のセットにしてもいいですか?」
「好きにしろよ。お前のほうが給料いいだろ」
「ちょっっとです。……あ、ここは、お姉さんである私が出します」
澪がなぜか年上ぶっている。別にそういうつもりで言ったわけじゃないんだけど。
「いや、割り勘でいいけどさ」
「さっき、婚約指輪を選んでくれたのが嬉しかったのです」
「……そっか。じゃあ任せるわ。俺、このカツサンドとパンケーキのセットで」
「わ、私にもカツサンドを一口ください」
「はいはい。パンケーキもやるよ」
注文を済ませたあとも澪はメニューを見ながら、「瑞希さん、これも美味しそうです」とか、「このクレープ、家で作れると思うんです」なんて楽しそうに言っている。
「……澪」
「なんでしょう?」
「……俺、お前に優しくできてる?」
お前が、ずっとうちの子でいたいと思えるくらい、俺の妻でいたいと思えるくらい、俺はちゃんとできているだろうか。
正直、まったく自信がない。
澪はきょとんと目を丸くしてから、へにゃっと笑った。
「お見合いのときから、瑞希さんはずっと優しいです」
そう笑う澪の顔はやけに眩しくて、思わず目を細めてしまった。
俺と澪の希望が一致してたし、澪から「これがいい」ってのを聞いてたし。
できるまで数カ月ということなので、注文だけして店を出る。
近くのカフェに寄ったら、澪はメニューを真剣な顔でめくっていた。
「何悩んでんの」
「このパフェが美味しそうですが、食べきれる気がしなくて」
「残ったら俺が食うから、好きなの食えよ」
「ありがとうございます! 飲み物のセットにしてもいいですか?」
「好きにしろよ。お前のほうが給料いいだろ」
「ちょっっとです。……あ、ここは、お姉さんである私が出します」
澪がなぜか年上ぶっている。別にそういうつもりで言ったわけじゃないんだけど。
「いや、割り勘でいいけどさ」
「さっき、婚約指輪を選んでくれたのが嬉しかったのです」
「……そっか。じゃあ任せるわ。俺、このカツサンドとパンケーキのセットで」
「わ、私にもカツサンドを一口ください」
「はいはい。パンケーキもやるよ」
注文を済ませたあとも澪はメニューを見ながら、「瑞希さん、これも美味しそうです」とか、「このクレープ、家で作れると思うんです」なんて楽しそうに言っている。
「……澪」
「なんでしょう?」
「……俺、お前に優しくできてる?」
お前が、ずっとうちの子でいたいと思えるくらい、俺の妻でいたいと思えるくらい、俺はちゃんとできているだろうか。
正直、まったく自信がない。
澪はきょとんと目を丸くしてから、へにゃっと笑った。
「お見合いのときから、瑞希さんはずっと優しいです」
そう笑う澪の顔はやけに眩しくて、思わず目を細めてしまった。



