関係が変わったことに親父とお袋には一発でバレた。
まあ、一緒に住んでるんだから、仕方ねえけどさ。
でも帰ってきた直後の晩飯でバレてたのは早すぎると思う。
「澪ちゃんは素直だし、瑞希もねえ……ふふ」
「態度が違いすぎるしな」
「……うっせえな……」
澪は照れた顔をしつつ、親父に飯のお代わりを出している。
「母から庇ってくれて、嬉しかったので」
「言わんでいいから」
「えっ、家に来たの……?」
ギョッとする両親に金曜日の午後の話をすると、親父が「うわ……」と呟く。
「えっと、基にそれ言った?」
「いや、美園さんの連絡先知らねえし」
「連絡してくる」
親父が飯をかき込んで席を立つ。
お袋は澪に声をかけていた。
「澪ちゃん、大丈夫だった?まさか連絡もなしに直接来るとは思わなくて……」
「大丈夫です。瑞希さんが助けてくれましたから」
ニコニコする澪に、お袋が肩をすくめて俺を見た。
「あんたに、そんな甲斐性があったとはね」
「うるさ……」
飯を終わらせて席を立つ。
廊下に出ると親父が美園さんと電話をしていた。
「あ、おい瑞希。澪ちゃん、大丈夫だったか?」
「たぶん。澪は俺の嫁にするから、釘刺しといてって、美園さんに伝えといて」
「はいはい。じゃあ澪ちゃんと相談して時期とか決めとけよ」
「……わかった」
妹の結婚式を思い出す。
あれから半年くらいしか経ってないはずなのに、ずいぶん前のことみたいに感じる。
あのときは藤乃も花音も大変そうで、忙しそうで、でも二人とも幸せそうだった。
……俺にもできんのかな。由紀と美園だと、きっと式の規模は二人と同じくらいになる。
正直めちゃくちゃ面倒くさい。
書類だけ出して、澪に指輪でも買ってやって、それで終わりでいいんじゃねえかって思う。
でも、式のときの花音は今まで見たことないくらい輝いていた。
澪もそうやって輝くなら、俺は頑張らないといけないんだろう。
「澪ー、ちょっといい?」
「はい!」
リビングの棚から花音の式のアルバムを出してくる。
「お前も、こういうのしたい?」
「……えっと……」
澪はアルバムを見て、黙り込んでいる。
「俺は、こういうの、お前に着てほしいけど」
ウェディングドレス姿の花音を指さす。
澪は少し迷ってから、ゆっくり頷いた。
「……着たい、です」
「そう。じゃあ、頑張ろう」
「……はい」
アルバムをめくる澪の横顔を眺めていると、視線に気づいて顔を上げた
俺を見てニコニコする彼女は、もう日にかざしても透けないし、触るとちゃんと暖かい。
まあ、一緒に住んでるんだから、仕方ねえけどさ。
でも帰ってきた直後の晩飯でバレてたのは早すぎると思う。
「澪ちゃんは素直だし、瑞希もねえ……ふふ」
「態度が違いすぎるしな」
「……うっせえな……」
澪は照れた顔をしつつ、親父に飯のお代わりを出している。
「母から庇ってくれて、嬉しかったので」
「言わんでいいから」
「えっ、家に来たの……?」
ギョッとする両親に金曜日の午後の話をすると、親父が「うわ……」と呟く。
「えっと、基にそれ言った?」
「いや、美園さんの連絡先知らねえし」
「連絡してくる」
親父が飯をかき込んで席を立つ。
お袋は澪に声をかけていた。
「澪ちゃん、大丈夫だった?まさか連絡もなしに直接来るとは思わなくて……」
「大丈夫です。瑞希さんが助けてくれましたから」
ニコニコする澪に、お袋が肩をすくめて俺を見た。
「あんたに、そんな甲斐性があったとはね」
「うるさ……」
飯を終わらせて席を立つ。
廊下に出ると親父が美園さんと電話をしていた。
「あ、おい瑞希。澪ちゃん、大丈夫だったか?」
「たぶん。澪は俺の嫁にするから、釘刺しといてって、美園さんに伝えといて」
「はいはい。じゃあ澪ちゃんと相談して時期とか決めとけよ」
「……わかった」
妹の結婚式を思い出す。
あれから半年くらいしか経ってないはずなのに、ずいぶん前のことみたいに感じる。
あのときは藤乃も花音も大変そうで、忙しそうで、でも二人とも幸せそうだった。
……俺にもできんのかな。由紀と美園だと、きっと式の規模は二人と同じくらいになる。
正直めちゃくちゃ面倒くさい。
書類だけ出して、澪に指輪でも買ってやって、それで終わりでいいんじゃねえかって思う。
でも、式のときの花音は今まで見たことないくらい輝いていた。
澪もそうやって輝くなら、俺は頑張らないといけないんだろう。
「澪ー、ちょっといい?」
「はい!」
リビングの棚から花音の式のアルバムを出してくる。
「お前も、こういうのしたい?」
「……えっと……」
澪はアルバムを見て、黙り込んでいる。
「俺は、こういうの、お前に着てほしいけど」
ウェディングドレス姿の花音を指さす。
澪は少し迷ってから、ゆっくり頷いた。
「……着たい、です」
「そう。じゃあ、頑張ろう」
「……はい」
アルバムをめくる澪の横顔を眺めていると、視線に気づいて顔を上げた
俺を見てニコニコする彼女は、もう日にかざしても透けないし、触るとちゃんと暖かい。



