十六夜月のラブレター

「勝手に封を開けて読んでしまったから月見ちゃんに渡すこともできなくなって。この手紙の前に一度届いてたのも……柊哉先輩と月見ちゃんが仲良くなるのが嫌だったから」

「手紙には何が書いてあるの?」

「読んだら全部わかるわ。お願い、雪見ちゃん。あたしのためにも今から柊哉先輩に会いに行って」

「そんなこと言われても……どうしていいかわからない」

「あたしの代わりに先輩に全部話して。それが唯一、あたしが償える方法だから。どうかあたしに罪を償わさせてください」

「いいの? 会いに行って」

雪見は力いっぱい頷いた。

「でも、ひとつだけお願い。月見ちゃんは強い人だけど、柊哉先輩の前だけは強がらないでいて。それじゃあ」

そう言って雪見は私の部屋から出ていった。

一人になった部屋で10年以上遅れて届いた手紙を読む。

手紙を持つ手が震えて涙が溢れる。

私は着ていた部屋着からいつもの地味な服に着替えると急いで家を出た。

古びた手紙とギフトボックスに詰めたマドレーヌを抱えて。