魔法使いアリスのスイーツショップへようこそ!

「おやゆびひめのエディブルフラワーには、からだが小さくなる魔法がかかっています。おきゃくさまは、その魔法をもとめて、お買いあげくださったんですが……。まあ、100こくらい買っていかれたから、1こくらい、きづかないかもしれませんね」
「そりゃあ、おっことすわけだ」
「いつも、きてくださるかたなので、こんど1こよぶんに、オマケしたいとおもいます」
 アリスは男の子から、ゆびさきサイズになった黒ネコを左手のひらに、うけとります。
「それじゃあ、『もとどおりビスケット』を食べさせてやってくれ」
「いえいえ。わたしが作っているのは、にんげんようです。ネコちゃんようのを、いまから作ります」
 そういうと、アリスの右手から、星くずのような光があふれます。
 パアッと、あらわれたのは、アリスの魔法のステッキ。
 おばあさまからうけついだ、スプーンがたの魔法のステッキには、ストライプのリボンがまかれています。
 アリスは心をこめて、じゅもんをとなえ、ステッキをふります。
「シルブプレ! アリスのスイーツ・ボナペティ!」
 すると、男の子の手のひらに、小さな小さなうすいビスケットがころがりました。
 男の子が、それを手にとって、まじまじと見つめます。
「……これだけ?」
「にんげんには少なくても、黒ネコちゃんには、ぴったりサイズですよ。『黒ネコちゃんせんよう・もとどおりビスケット』かんせいです!」
 男の子が、そっと黒ネコに、ビスケットをさしだします。
「……食べるか?」
 黒ネコは、くんくんとにおいをかいでから、ぱくっとビスケットをたべました。
 すると、黒ネコのからだが、パッとかがやきます。
 光につつまながら、黒ネコは、もとのからだに、ぐんぐんともどっていきます。
 気づくと、アリスのうでのなかで、黒ネコはふつうの大きさになっていました。
 ニャアと、ひとことないて、お店をさっさと出ていってしまいます。
 アリスは、くらい顔でいいました。
「スイーツのもんくでも、いっていたんでしょうか? 黒ネコちゃん、たいへんな目にあいましたもんね」
 かたをおとしていうアリスに、男の子は、ふふっとわらった。
「ぼくからは、おれいをいうよ。ネコをもどしてくれて、ありがとう」
「いえいえ。わたしのお店のスイーツで、小さくなってしまったんですから」
 男の子は、ゆっくりと首をふりました。
「黒ネコは、木のねっこで、ねていたっていっただろう。たくさんあそんで、つかれて、ねていたようだよ。森のようせいたちが、ほほえみながら、そういっていた」
「そうだったんですか……。それなら、よかったです!」
 うれしくなったアリスのあたまに、次のスイーツのアイデアがうかびます。
「そうだ! 黒ネコのガトーショコラを作りましょう! おきゃくさま。よかったら、食べていってください」
「ちょっと。それを食べたら、どうなるんだよ」
「もちろん、黒ネコになりますよ。だいじょうぶ。『もとどおりビスケット』がありますよ。レモンティーといっしょに、めしあがれ!」

 カラン カラン♫
 きょうも、アリスのスイーツショップは、おおいそがしです!