魔法使いアリスのスイーツショップへようこそ!

「カジカ! やっぱり、カジカだった……って、マーメイドになってる! どうしたの?」
 マーメイドのおきゃくさまは、カジカというようです。
 カジカは、とまどいながら、たずねます。
「あ……アコヤ。どうしてここが、わかったの?」
 ポニーテールのおきゃくさま、アコヤは、ねむをはっていいました。
「きょう、わたしのバースデーでしょ。アリスのお店から、カジカの声がしたから、つい入ってきちゃった。もしかして、わたしへのバースデーソングの練習をしてるんじゃ、ってさ」
「……えっ」
 おどろく、カジカ。
 アコヤは、てれたようにわらいます。
「でもさ、マーメイドになってるなんて、びっくり!」
「あ、あのさ。アコヤ」
 カジカは、おそるおそるといったようすで、アコヤにたずねます。
「なんで、わたしの歌声だって、おもったの? いつものわたしの歌声って……その、へたっぴでしょ。いつものわたしの歌声とちがうのに、ふしぎだなって」
「へたじゃないよ!」
 アコヤは、きっぱりといいます。
「カジカの歌、たしかにちょうしは外れてるかもしれないけど、すてきだよ! カジカのきもちが、たくさんこもってるもん。だからいまも、すぐにカジカの歌だって、わかったんだ」
「そ、そうだったの……」
 カジカは、うれしそうにわらいました。
 アリスがそっと、カフェスペースにスイーツをおきます。
「こちら『もとどおりラスク』です。これでカジカさまは、もとの人間のすがたにもどりますよ。アコヤさまには魔法のかかっていない、ふつうのラスクを。ラスクとぴったりあう、ミルクティーといっしょにどうぞ」
 アリスにすすめられ、ふたりは、となりどうしのイスにすわりました。
 おんなじリズムで、サクッとラスクをかじります。
 すると、カジカはあっというまに、もとのすがたにもどりました。
 ミルクティーをのんで、ひといきつくと、アコヤがいいました。
「カジカ。うたって。バースデーソング」
「うん」
 カジカは心をこめて、アコヤをいわう、歌をうたいます。
 その歌声は、アリスのスイーツショップのまわりにある丘をこえ、青空へととどきます。
 アコヤはそれを、とてもうれしそうに聞いていました。

 ♫ めいろ ♫
 アリスのスイーツショップは、すてきな丘のうえにあるの。
 どうやっていけばいいのかな?
 めいろをたどって、アリスのスイーツショップへ行ってみよう!

 アリスのスイーツショップは、きょうもおおいそがし。
 あさから、たくさんのおきゃくさまが、スイーツをもとめて、やってきています。
 みつあみの女の子が、いいます。
「とけいウサギのアップルパイをみっつ」
 ワンピースのおねえさんが、いいます。
「ハートの女王のトランプパフェをひとつ」
 シルクハットのおじさまが、いいます。
「マッドハッターのアフタヌーンティーセットをひとつ」
 おひるごろ、ようやく、おきゃくさまがきたことをしらせる、らいてんベルがおちつきました。
 アリスは、レジのイスにすわり、よういしていたガラスのポットから、お茶をそそぎます。
 カップを口にはこび、ホッと、いきをつきます。
 みんな、スイーツを食べて、いまごろわくわくしているかしら。
 スイーツといっしょに、おわたししている『もとどおり』になるスイーツも、いつも大ひょうばん。
 きょうの、もとどおりになるスイーツは『もとどおりビスケット』。
 いちまい食べれば、あっというまにもとどおり。
 アリスの魔法は、きょうも、ぜっこうちょうです。
 そのとき、カランカラン、らいてんベルがなりました。