魔法使いアリスのスイーツショップへようこそ!

「ええっと、マーメイドのスイーツはありますか?」
「マーメイドですね。もちろんございますよ」
「ああ、よかった」
 女の子はホッと、あんしんした顔になりました。
 アリスはショーケースから、あざやかなマリンブルーのスイーツをとりだしました。
「こちらは、『マーメイドシーグラスゼリー』です。あおあおとしたマリンブルーのゼリーに、シュガークラフトの貝がらをちりばめました」
「うわあ、とってもすてき!」
 女の子は、りょうてをあわせて、よろこんでいます。
 アリスは、さっそく女の子をお店のなかにあるカフェスペースに、あんないしました。
「どうぞ。ゼリーにあう、アイスティーとめしあがれ」
 女の子は、ガラスのうつわに入れられたマーメイドシーグラスゼリーを銀色のスプーンですくい、ぱくりと食べました。
 すると、からだの下が、ぱあっとかがやきます。
 ハッと気づくと、女の子の足は、マーメイドのヒレになっていました。
 アリスのスイーツショップは、なりたいものになれちゃうスイーツショップ。
 お店のスイーツには、すべてアリスの魔法がかかっています。
 マーメイドシーグラスゼリーを食べると、マーメイドになれちゃうんです。
「うれしい! わたし、マーメイドになれちゃった!
「ほんじつは、どうしてマーメイドシーグラスゼリーをおもとめに?」
「じつは、わたし……歌がへたなんです。たくさん、れんしゅうしているのに、ちっともうまくならなくて。でも、きょう……ともだちの誕生日だから、どうしてもすてきな歌声で、バースデーソングを歌ってあげたくって……」
 しょんぼりという、女の子。
「アリスさん。ちょっとだけここで、練習させてもらえませんか?」
「ええ。もちろんです」
 アリスがニッコリというと、女の子はさっそく歌いはじめました。

 ハッピー ハッピー バーステー
 わたしのたいせつな ともだちのあなた
 ことりも もりも たいようも
 みんな あなたを いわってる
 そして なによりも わたしのこころからの
 ハッピー ハッピー バースデー
 
 歌いおわると女の子は、ふうと、いきをつきました。
「ど、どうでしたか……?」
 アリスは、目をかがやかせて、いいました。
「すばらしかったです! まるで、月の光をうつした夜の海みたいな、しずかな歌声。なのに、あらぶる波のように力づよくて……かんどうしました!」
「そ、そんなにほめてもらえるなんて、てれちゃいます」
 顔をまっかにする、女の子。
 そのとき、お店のらいてんベルが、カランカランとなりました。
 入ってきたのは、ポニーテールの女の子です。