リーゼロッテとクラウスの出会いは、
リーゼロッテの兄である
マグノリア王国王太子マティアスの結婚披露宴だった。

煌びやかな舞踏会場。
クラウスはハイドランジアの代表として招かれ、
その場で初めてリーゼロッテと踊る。
リーゼロッテは大人びてはいるが、
聞けばまだ16歳だとか。

「貴女の笑顔は、春の花よりも眩しい。」
「ふふ……お上手ですね、王子様。」

初対面の二人。
けれどその一瞬で、
リーゼロッテはクラウスに鮮烈な印象を与えた。

彼はその夜、
マグノリアに随行していた侍従にこっそり言った。
「マグノリアで思わぬ美少女を見つけたよ。」
あと数年もすれば、
彼女は華やかな美女に成長するだろう。
その時に縁があれば、
とクラウスは淡い期待を抱くのだった。