姫と騎士のめぐりあい

(とりあえずは、困った時のエーリヒがいる。大丈夫。)
今年1年は社交が苦手のエリザベートも、
公の場に出なければいけない行事が目白押しなのだ。
なぜなら、
弟のマティアス王太子の婚約が正式に発表され、
来年の結婚式に向けて様々な行事が行われるからである。

予定されていた公式行事の数々は、
エリザベートの不安をよそに
粛々と執り行われていった。
愛娘に恥をかかせたくないという
国王夫妻の配慮のおかげで
エリザベート1人にスポットライトがあたることのないよう
綿密に計画されていたからだ。
家族が一緒なら、
他人の視線も気にならなかった。

「リラはすごいわね。毎日毎日、みんなから注目を浴び続けて。私なんてちょっとしたお茶会ですらうまく振る舞えないのに。」
ティータイムを楽しみながら
義妹となるリラにエリザベートは話しかける。
「まぁ、でも本当に大変。何を着るか、何を話すかがこんなに注目されるなんて想像以上でストレスだけど、でもこれがマットの妻になるということだもの。」
「愛ね。素敵だわ。」
「マティアスと結婚するということは、王太子妃という職業に就くことなんだって、そんなふうに理解しているの。」
「王太子妃という職業?」
生まれながらの王女であるエリザベートには
新鮮な考え方だ。