姫と騎士のめぐりあい

春の午後、
王宮の謁見室には柔らかな陽が差し込んでいた。
ステンドグラスを通して床に落ちる光は虹色に揺れ、
季節の香りを含んだ風が、
カーテンを静かに揺らしている。

エリザベートは、
エーリヒと並んで玉座の前に立っていた。
緊張のせいか、
彼女の指先がほんの少し震えている。
(お父さま……お母さま、許してくださるかしら……)

そんな不安でいっぱいのエリザベートと対照的に、
隣に立つエーリヒは堂々としていた。
背筋をまっすぐに伸ばし、
その瞳は決意の光を宿している。

「ユリウス国王陛下、ジゼル王妃陛下。」
低く、よく通る声が謁見室に響く。
「私は、エリザベート王女殿下と生涯を共にすることを願っております。どうか、この婚姻をお許しいただけますように。」

静寂が訪れた。
緊張で胸が高鳴る中、
エリザベートはおそるおそる父の顔を見る。
ユリウス国王は一瞬、口元を引き結んだ。
その視線は鋭くも、どこか愉快そうだ。

やがて彼は堪えきれないように笑った。
「……やっと、決心してくれたか。私たちは随分と待たされたなぁ、ジジ。」

隣でジゼル王妃も微笑む。
「ふふふ。あなたたちを見ていて、陛下も私もいつも思っていたのよ。きっとこの日が来るだろうって。」