姫と騎士のめぐりあい

そして、月光の中で二人の影が重なる。
時が止まったかのように、
世界は二人だけのものになった。

互いの痛みも、過去の涙も、
ただひとつの温もりで包み込まれていく。

——どれほど長く抱き合っていただろう。
夜風が少し冷たくなり、彼女の髪が揺れる。
エーリヒはその頬に指を滑らせ、
まっすぐな眼差しで言った。

「エリザベート・フォン・イーリス。俺はもう二度と、君を遠くから見送るだけの男ではいたくない。これからの人生を、隣で共に歩ませてほしい。」

エリザベートは涙を浮かべながら微笑む。
「……はい。あなたとなら、どんな未来でも怖くないわ。」
彼の手を取り、自分の胸の上に導く。
「この鼓動が、あなたの名前を呼んでいるの。ずっとずっと、小さな頃からあなただけが好きだった——」
「それは俺も同じだよ、リサ。でも君と俺では身分が違いすぎるから言えなかった。でももう我慢したくない。」

お互いの気持ちを打ち明けあった2人は、
どちらからともなく顔を寄せ合い、
再び唇を重ねた。
かつての別れを埋めるように、
幾重にも、確かめ合うように。

月は静かに雲間を抜け、
ふたりの影を銀色に照らす。

遠くの塔の鐘が、ゆっくりと時を告げる。
その音を聞きながら、
エリザベートの肩に顔を埋め、
エーリヒはそっと囁く。
「やっと、やっと、君をこの手に抱けた……おかえり、エリザベート。」
「ふふふ。ただいま、エーリヒ。」

抱きしめ合う二人の背後で、
夜明けの光が、
そっと新しい世界を照らし始めていた——。