冷たい石造りの大広間に、
厳粛な鐘の音が響いた。
ここはハイドランジア帝国の王都にある最高法院。
壇上には女帝ヴィルヘルミーナが静かに座し、
傍聴席にはマグノリア国王ユリウスと王妃ジゼル、
そしてエーリヒとエリザベートの姿もあった。
中央には、
鎖につながれたヴァルタザール。
堂々とした姿勢のまま、
彼は何一つ言葉を発さずに判決を聞いていた。
「——被告ヴァルタザール・ハーゲン。国家転覆を企て、王女エリザベートを誘拐した罪により、死刑を宣告する。」
静まり返る法廷。
エリザベートは唇を震わせたが、
何も言えなかった。
ヴァルタザールに裏切られたことは確かだが、
エリザベートは彼に同情も感じていた。
何かの歯車が違っていれば、
彼と自分の立場は入れ替わっていたかもしれないのだ。
エーリヒが彼女の肩に手を置き、
ただ黙って支える。
ヴァルタザールは、
判決を受けてもなお表情を崩さない。
その瞳には、もはや怒りではなく、
どこか諦めにも似た静かな色が宿っていた。
厳粛な鐘の音が響いた。
ここはハイドランジア帝国の王都にある最高法院。
壇上には女帝ヴィルヘルミーナが静かに座し、
傍聴席にはマグノリア国王ユリウスと王妃ジゼル、
そしてエーリヒとエリザベートの姿もあった。
中央には、
鎖につながれたヴァルタザール。
堂々とした姿勢のまま、
彼は何一つ言葉を発さずに判決を聞いていた。
「——被告ヴァルタザール・ハーゲン。国家転覆を企て、王女エリザベートを誘拐した罪により、死刑を宣告する。」
静まり返る法廷。
エリザベートは唇を震わせたが、
何も言えなかった。
ヴァルタザールに裏切られたことは確かだが、
エリザベートは彼に同情も感じていた。
何かの歯車が違っていれば、
彼と自分の立場は入れ替わっていたかもしれないのだ。
エーリヒが彼女の肩に手を置き、
ただ黙って支える。
ヴァルタザールは、
判決を受けてもなお表情を崩さない。
その瞳には、もはや怒りではなく、
どこか諦めにも似た静かな色が宿っていた。



