母ジゼルの切なる願いも虚しく、
エリザベートの極度の上がり症は
全く改善されることなく、
19歳の1年が終わり、
エリザベートはついに20歳を迎えてしまった。
もう結婚していてもおかしくない年齢であるのに、
エリザベートにはいまだ婚約者すらいない。
数年前はちらほらと各国から縁談の申し込みがあったが、
断り続けているうちに
そんな申し出もすっかり減ってしまった。
今では妹のリーゼロッテに来る縁談の方が多い。
エリザベートと違って社交的なリーゼロッテは
縁談にも積極的だ。
「だってお姉様。優良物件は早めに捕まえておかないと、すぐ売約済みになってしまうのよ。私も来年に社交会デビューだし、準備は早めにしとかないとね。」
「ロタ(リーゼロッテの愛称)は私と違って明るくて面倒見の良いいい子だから、きっとすぐ見つかるわ。素敵な人がいたら、私に気を遣わないでいいからね。」
「お姉様にはエーリヒがいるじゃないの。私、彼にこの前探りを入れたんだけど、安心して。恋人はいないみたいよ。」
表面上は苦笑いを浮かべるものの、
エリザベートは内心ホッとしていた。
エーリヒが独身でいること、
恋人がいないことが、
惨めな自分の唯一の慰めなのだから。
エリザベートの極度の上がり症は
全く改善されることなく、
19歳の1年が終わり、
エリザベートはついに20歳を迎えてしまった。
もう結婚していてもおかしくない年齢であるのに、
エリザベートにはいまだ婚約者すらいない。
数年前はちらほらと各国から縁談の申し込みがあったが、
断り続けているうちに
そんな申し出もすっかり減ってしまった。
今では妹のリーゼロッテに来る縁談の方が多い。
エリザベートと違って社交的なリーゼロッテは
縁談にも積極的だ。
「だってお姉様。優良物件は早めに捕まえておかないと、すぐ売約済みになってしまうのよ。私も来年に社交会デビューだし、準備は早めにしとかないとね。」
「ロタ(リーゼロッテの愛称)は私と違って明るくて面倒見の良いいい子だから、きっとすぐ見つかるわ。素敵な人がいたら、私に気を遣わないでいいからね。」
「お姉様にはエーリヒがいるじゃないの。私、彼にこの前探りを入れたんだけど、安心して。恋人はいないみたいよ。」
表面上は苦笑いを浮かべるものの、
エリザベートは内心ホッとしていた。
エーリヒが独身でいること、
恋人がいないことが、
惨めな自分の唯一の慰めなのだから。



