姫と騎士のめぐりあい

その頃、マグノリア王国王宮では、
ユリウス国王とジゼル王妃が密談を交わしていた。
ユリウスの手には、
先ほどフレデリカから手渡された
現地からの報告書がある。

「まさか……本当にシャルロットの息子が――リサの命を狙っているなんて。」
ジゼルの顔は蒼白だった。
「私が……私のせいだわ。あの子を救えていれば……」

ユリウスは静かに彼女の手を取る。
「ジジ。この前も言ったが、これは君のせいではない。今は娘を救うことだけを考えよう。」

彼の温かな声に、
ジゼルは小さく頷き、涙をこらえた。
「……お願い、陛下。どうか、リサを……」
「リサは必ずエーリヒが取り戻してくれる。彼を信じよう。」

ジゼル王妃が眠れぬ夜を過ごしたその翌朝。
山々に薄霧が立ちこめ、
修道院の尖塔が姿を現した。
マグノリアとハイドランジアの合同部隊が
一斉に包囲を完了する。

クラウスは馬上から双眼鏡を覗き込み、
低く命じた。
「合図を出せ。突入は夜明けと同時だ。」
隣に立つエーリヒは剣を握りしめ、
胸の内で祈る。

「どうか……無事でいてくれ、エリザベート」


彼の視線の先で、
朝日が雲の切れ間から差し込み、
霧を金色に染めていく。
その光はまるで
――再会の時を約束する希望の輝きのように。