姫と騎士のめぐりあい

ヴァルタザールの運命が動き出したのは、
大学に入学して2年目のことだった。

なんと、
マグノリア王国からエリザベート王女が
留学することが発表されたのだ。
大学にやって来たエリザベートは
いつもひと目で高級と分かるものを身に着け、
大勢の人に取り囲まれていた。
聞くところによると、
女帝ヴィルヘルミーナの招待を受けて
頻繁に宮殿を訪れ、
女帝陛下とティータイムを共にしているらしい。

忘れかけていた嫉妬や羨望が
じりじりとヴァルタザールの胸を焦がした。
革命さえなければーーー
ジゼル王妃が母を救い出していればーーー
自分の人生はもっと華やかなものになっていただろう。

そんな鬱屈した思いを抱えていたヴァルタザールを
後押ししたのが、
もともと密かに交流が続いていた旧王党派や
新たに合流した
女帝から冷遇されている
ハイドランジアの貴族たちだった。
彼らは共和制となったユーフォルビアに
ヴァルタザールを王として
王政を復活させようとしていた。

留学してきたエリザベートを誘拐し、
エリザベートの命を盾に
マグノリアやハイドランジアを脅して
ユーフォルビアに王権を取り戻し、認めさせる。
それが彼らが描いている青写真だ。