姫と騎士のめぐりあい

「そうか、リサは今日もダメだったか。」
「みんなから注目されている、と認識してしまうとダメみたいなの。あの子もこのままではいけないとは思っているのだけどね。それにあなたがリサの結婚相手が見つからないとシュトラウス公爵と話しているのを聞いてしまったみたいで、余計に焦っているわ。」

ちょっと責めるようなジゼルの言い方に
ユリウスは一瞬、しまったという顔をして
苦笑いを浮かべる。
「リサに聞かれていたのか、、、いや、マティアスとシュトラウス公爵令嬢の婚約の話をエルマーとしていたんだが、その延長でな。」
「マットは本当に要領が良いというか。あれこれ目移りすることなく、自分に相応しい女性を最短で見つけたわね。」
「あぁ、全くだ。」
「一方でリサは、変に完璧主義すぎると思うの。王女だから完璧でいなくちゃって気持ちが空回りして、固まってしまうんだと思うの。」
「こんなに素晴らしいお手本が目の前にいると、焦ってしまうのも無理ないな。」
ユリウスが優しい手つきで
ジゼルの髪を撫でると
ジゼルは少女のように照れた笑みを浮かべる。
もう結婚して20年近くが経つというのに
ユリウスは変わらぬ愛情をジゼルに向けてくれていた。
自分自身が夫の愛で満たされているからこそ、
娘たちにもそのような男性と結ばれてほしいと
ジゼルは願わずにはいられないのだ。