姫と騎士のめぐりあい

夜が明け、
柔らかな朝日が別邸の庭に差し込む。
しかし、その光景は、
いつもの穏やかな朝とは程遠かった。

別邸近くの宿で夜を明かしたエーリヒは、
精鋭部隊を率いて別邸へと急ぐ。
邸の門をくぐると、異様な静けさが漂う。
門番や侍女の姿はなく、廊下には誰もいない。
庭園の薔薇は朝露に濡れ、美しいが、
その平穏は不自然だった。

「……何だ……これは。」
エーリヒの胸に不安が走る。
あたりに視線をやると、
見張りにつけていた兵士たちが倒れているではないか。
薬を盛られ、意識を失ったのだとすぐに察する。

「リサっ……!」
エーリヒは思わず愛しい人の愛称を叫ぶ。
エーリヒは倒れた兵士たちを部下に任せ、
邸内を走る。
しかし書斎も寝室も、
残されたものは生活の痕跡だけ。
そして、そこに残されたわずかな手がかり──
差し出された紅茶の空きカップ、
薔薇の籠、微かに残る香り。

「……やはり……」
胸の奥で確信が走る。
(リサが……誘拐された……)