姫と騎士のめぐりあい

女帝は王笏を握りしめ、侍従たちに命じた。
「宰相を呼びなさい。
 帝国の中枢に巣食う影を、一つ残らず洗い出すのです。」

かつてユーフォルビア王国で革命が起きた時。
国王夫妻の下の2人の子どもたちは
密かに逃がされ、
ハイドランジア帝国で生きていると
まことしやかに噂が流れたことがあった。
亡命した王族の子どもは、
今後のためにも
自分の監視下に置かねばならない。
家臣に命じて手を尽くして探したが
見つけることはできなかった。
やがてその噂も雲散霧消し、
ただの噂だったのだと結論付けられた。

だが、それは真実だったのだ。
遺児たちは生き延び、
今その子孫が国際社会に復讐しようとしている。
自らが世界の盟主であると自負する
誇り高き老齢の女王は
なんとしても事件を未然に解決しなければと
固く誓うのだった。

外では、冬を告げる風が吹き荒れていた。
嵐の前の静けさの中、
三つの国の思惑が、
静かに、しかし確実に絡み合っていく。