王妃の私室でなされたこの会話を
エリザベートの妹、リーゼロッテ王女は
偶然にも聞いてしまった。
母に用事があって部屋の前まで来ていたのだ。
すごい話を聞いてしまったリーゼロッテは
すぐさま自室に引き返し、
密かに書簡を綴った。
宛名は、ハイドランジア帝国の王子クラウス。
(帝位継承順位第四位、ヴィルヘルミーナ女帝の従甥にあたる青年。)
彼は先の王太子の結婚披露晩餐会で知り合った相手だ。
彼は王位継承権こそ低いものの秀才で知られ、
帝国大学でも優秀な学生として名を馳せていた。
女帝陛下のお気に入りである。
リーゼロッテは震える手で書く。
『クラウス殿下。姉上があなたの国で危険に晒されています。既に私の父から話がいっているでしょうが、どうかあなたからも女帝陛下にお伝えください。陰謀の影が、帝都に及んでいるのです。私の愛する姉を助けてください。』
丁寧に封をされた手紙は
急ぎ飛行郵便でハイドランジアへ。
やがてクラウスの手に渡り、
その報告を受けたヴィルヘルミーナ女帝の表情が、
静かに曇る。
「……やはり、動き出したのね。あの亡国の亡霊たちが──」
エリザベートの妹、リーゼロッテ王女は
偶然にも聞いてしまった。
母に用事があって部屋の前まで来ていたのだ。
すごい話を聞いてしまったリーゼロッテは
すぐさま自室に引き返し、
密かに書簡を綴った。
宛名は、ハイドランジア帝国の王子クラウス。
(帝位継承順位第四位、ヴィルヘルミーナ女帝の従甥にあたる青年。)
彼は先の王太子の結婚披露晩餐会で知り合った相手だ。
彼は王位継承権こそ低いものの秀才で知られ、
帝国大学でも優秀な学生として名を馳せていた。
女帝陛下のお気に入りである。
リーゼロッテは震える手で書く。
『クラウス殿下。姉上があなたの国で危険に晒されています。既に私の父から話がいっているでしょうが、どうかあなたからも女帝陛下にお伝えください。陰謀の影が、帝都に及んでいるのです。私の愛する姉を助けてください。』
丁寧に封をされた手紙は
急ぎ飛行郵便でハイドランジアへ。
やがてクラウスの手に渡り、
その報告を受けたヴィルヘルミーナ女帝の表情が、
静かに曇る。
「……やはり、動き出したのね。あの亡国の亡霊たちが──」



