「王女が滞在しているハイドランジア帝国で、最近、王政復古を掲げる過激派が動いている。私の海運会社の船員が現地で奇妙な噂を耳にしたの。“王家の血を継ぐ者を狙う影がある”って。」
エーリヒの指先が止まった。
「……王政復古。それは、かつてのユーフォルビア王国の王党派の生き残りか?」
フレデリカは静かに首を振る。
「もっと個人的な恨みよ。あなたもご存じのはず――王女の母上、ジゼル王妃には異母兄弟がいたわね。」
「……ああ。だがユーフォルビアの王族は革命で処刑されたはずだ。」
「国王夫妻と共に処刑されたのは上の二人、デルフィーヌとドミニク。でも、下の二人――シャルロットとダミアン王太子は逃げ延びていたそうなのよ。その二人は密かにハイドランジアへ逃がされたの。王太子は流行病で数年後に亡くなったけれど、シャルロットは生き延びて、金持ちの商人に嫁いで息子を生んだ。」
フレデリカは一枚の書簡を取り出す。
そこには名が記されていた。
“ヴァルタザール・ハーゲン”
「この男が、現在、過激派を扇動している。彼は自分の母シャルロットから“復讐”を教え込まれて育った。“ジゼルが幸福を得た代償は、我らの苦しみである”とね。」
エーリヒは深く息を吸う。
背筋に冷たいものが走った。
「つまり……奴の矛先は、ジゼル王妃の娘――エリザベート王女というわけか。」
フレデリカは静かに頷いた。
エーリヒの指先が止まった。
「……王政復古。それは、かつてのユーフォルビア王国の王党派の生き残りか?」
フレデリカは静かに首を振る。
「もっと個人的な恨みよ。あなたもご存じのはず――王女の母上、ジゼル王妃には異母兄弟がいたわね。」
「……ああ。だがユーフォルビアの王族は革命で処刑されたはずだ。」
「国王夫妻と共に処刑されたのは上の二人、デルフィーヌとドミニク。でも、下の二人――シャルロットとダミアン王太子は逃げ延びていたそうなのよ。その二人は密かにハイドランジアへ逃がされたの。王太子は流行病で数年後に亡くなったけれど、シャルロットは生き延びて、金持ちの商人に嫁いで息子を生んだ。」
フレデリカは一枚の書簡を取り出す。
そこには名が記されていた。
“ヴァルタザール・ハーゲン”
「この男が、現在、過激派を扇動している。彼は自分の母シャルロットから“復讐”を教え込まれて育った。“ジゼルが幸福を得た代償は、我らの苦しみである”とね。」
エーリヒは深く息を吸う。
背筋に冷たいものが走った。
「つまり……奴の矛先は、ジゼル王妃の娘――エリザベート王女というわけか。」
フレデリカは静かに頷いた。



