姫と騎士のめぐりあい

エーリヒはその知らせを、
後輩騎士の口から聞いた。
「エリザベート様の外出護衛? ああ、今日はハインリヒらしいんですが、エーリヒさんは別件でも?」
「……なんだと?」
思わず問い返す声が、低く震えた。
彼の胸に、鈍い痛みが走る。
(なぜ……。リサはやはり俺を避けている……?)

晩餐会の夜のことが脳裏をよぎる。
あのときの、彼女の微笑――いや、あれは笑顔ではなかった。
悲しげに俯いた顔。
その意味を、ようやく理解しかけていた。

「エリザベート様の護衛はエーリヒさんの専売特許だから、他の騎士たちもざわついてましたよ。指名されたハインリヒ本人も困惑していて。」
「エリザベート様の護衛は俺じゃなくても務まるさ。やることは他の王族となんら変わらないのだから。」
別に気にしていないとでもいうように、
平静を装って返答するが、
心はここにあらずだ。

その日以降も、
エリザベートの公務には別の騎士が
護衛として就くことが増えていった。
エリザベート付きの侍女や文官に
それとなく理由を探ってみるものの、
当たり障りの無い返事しか返ってこない。