姫と騎士のめぐりあい

その日以来、
エリザベートは変わってしまった。
決してエーリヒを避けているわけではないが、
さり気なく距離を置こうとしているのが
嫌でも感じられる。

ある日の朝。
いつものように、
エリザベートの公務へ向かう準備が進められている。
だがその日の予定表には、
いつも当然にあるはずのエーリヒの名がなかった。

「……本日の護衛は、ハインリヒにお願いしたいの。」
執務室でそう告げたエリザベートの声は、
いつもより少し硬かった。
侍女も文官も一瞬、息を呑む。
これまで彼女の外出には、
常にエーリヒが付き添っていたからだ。

「ですが、王女様。護衛はエーリヒ殿でなくてよろしいのですか?」
「ええ。エーリヒは、最近お忙しいでしょう? 無理をさせたくないの。」
エリザベートは静かに微笑む。
けれどその笑みの奥に、
ほんの少しの悲しみが滲んでいた。
文官はエリザベートの意図を汲み取り、
それ以上は追及せずに頭を下げる。

彼女は“自分から距離を取るため”に、
優しさという仮面を被っていた。
――もう、これ以上彼を想ってはいけない。
そう自分に言い聞かせながら。