姫と騎士のめぐりあい

最初は偶然か?と思っていたが、
どうやらエリザベートが指名してくれているらしい。
恥ずかしがり屋の彼女に割り振られる公務は
そこまで多くなく、
エーリヒ自身の日々の仕事量からすれば
それほど大きなウェイトを占めるものではない。
それでも一番やりがいを感じていた。

エリザベートはエーリヒの姿を見つけると
いつも嬉しそうに微笑んでいた。
エリザベートの様子に気を配り、
彼女が恥をかかないようさり気なくフォローする。
公務の行き帰りには少し話をすることも。
王女と護衛騎士として
付かず離れずの距離を意識して接していたら
またまたエリザベートは
自分に話しかけてくれるようになった。

「いつもご苦労さま。」
「今日はお父様の公務に同行なの?気をつけてね。」
「まぁ衣替えしたのね。とても似合っているわ。」
近衛隊の騎士たちに
分け隔てなく気さくに声を掛ける王妃様とは対照的に、
エリザベートが声をかけるのは
ここでもエーリヒだけだ。
エーリヒの誕生日の時には
声かけだけにとどまらず、
エーリヒのモチーフである翼が刺繍された
真っ白なハンカチを
日頃の御礼だとプレゼントしてくれた。
そんなどストレートな行動をするものだから、
エリザベートがエーリヒに好意を持っていることは
他の騎士たちにも筒抜けだった。

幸い、
学院の時のようにあからさまな嫌がらせはないものの、
自分の態度次第では今後どうなるか分からない。
そう思って、あえてクールな振る舞いに徹する。
そんな自分の冷たい態度に
エリザベートが傷ついたような顔をするたびに、
エーリヒ自身もチクリと胸が痛むのだった。