(もう潮時かな。エーリヒのことは大好きだけど、彼はそうじゃないもの。でも彼以外の人なんて。)
エリザベートがここの中で逡巡していると、
いつの間にか城の方へ戻って来ていた。
エーリヒはどうしているだろうか。
置き去りにして来てしまった彼のことを考えていると、
噂をすれば、ではないが
彼が誰か女性と2人でいるではないか。
特に人目を忍んでいる様子もなく、
柱の陰に身を隠したエリザベートにも
話し声が十分に聞こえる。
「私、今宵の王太子殿下の結婚披露晩餐会にはエーリヒ様がエスコートしてくださると思っていましたのに。」
「なぜそのように?」
「ヘルヴェーク家から正式にロートシルト家に縁談の申し込みをさせていただきましたもの。」
「しかし我が家から正式に返答してないのだから、私たちは婚約者同士ではない。貴女をエスコートする義務は私にはないはずだ。」
「冷たい方。でもこういう場に貴方お一人で出るわけにもいかないでしょう。今日はなぜ王女殿下と?」
「殿下からのご指名があったからだ。私は王家に仕える身だから、要請があればその責務を果たすまでだ。」
その後の2人の会話をエリザベートは知らない。
エーリヒに縁談が持ち上がっていることもショックだが、
自分と晩餐会に出席することは
臣下としての義務だと
ばっさり言いきられてしまったことの方が
エリザベートの胸を抉った。
エリザベートがここの中で逡巡していると、
いつの間にか城の方へ戻って来ていた。
エーリヒはどうしているだろうか。
置き去りにして来てしまった彼のことを考えていると、
噂をすれば、ではないが
彼が誰か女性と2人でいるではないか。
特に人目を忍んでいる様子もなく、
柱の陰に身を隠したエリザベートにも
話し声が十分に聞こえる。
「私、今宵の王太子殿下の結婚披露晩餐会にはエーリヒ様がエスコートしてくださると思っていましたのに。」
「なぜそのように?」
「ヘルヴェーク家から正式にロートシルト家に縁談の申し込みをさせていただきましたもの。」
「しかし我が家から正式に返答してないのだから、私たちは婚約者同士ではない。貴女をエスコートする義務は私にはないはずだ。」
「冷たい方。でもこういう場に貴方お一人で出るわけにもいかないでしょう。今日はなぜ王女殿下と?」
「殿下からのご指名があったからだ。私は王家に仕える身だから、要請があればその責務を果たすまでだ。」
その後の2人の会話をエリザベートは知らない。
エーリヒに縁談が持ち上がっていることもショックだが、
自分と晩餐会に出席することは
臣下としての義務だと
ばっさり言いきられてしまったことの方が
エリザベートの胸を抉った。



