「私もそんなふうに考えれば少しは変われるかな。」
リラとの何気ない会話だったが、
少しだけ心が軽くなった気がした。
そして実際、
『公の場にいる時は王女という役割をこなせば良い。』
と思うと、
以前より緊張しなくなったのだ。
言葉でうまく説明できないが、
王女と本当の自分は別だと区別することで
王女モードの時は堂々と振る舞えるようになったのだ。

この劇的な変化に
エリザベートを案じていた両親も大喜びだった。
そのきっかけを作ったリラも驚いていた。
「リサ様は女優の才能があるのかもしれませんね。」
「自分でもびっくりしているの。キッカケをくれたあなたにももちろんだけど、公爵夫人にも御礼を言わなくちゃ。」

こうして、
自分もやればできると
自信のついたエリザベートだったが、
お茶会などの社交はやはり苦手だった。
特に親しくもない人たちと
中身のない会話を続けるのが苦痛なのだ。
それだったら黙々と小説を読みふけっている方が
ずっと楽しい。

公務はこなせるようになったけれど、
内向的な性格は相変わらずだった。