「……一悠、最近どこか元気ない?」
「え?……大丈夫だよ。それより翠花、それ新しいカチューシャだよね」
「そうなの。一目惚れして買っちゃったんだ」
翠花には誤魔化せてるようで、きっと誤魔化せていない。聞かれないだけで。
カチューシャのことだって、新しいのをしていれば朝会った時点で今の会話をしているはずなのに、放課後の今になって気付いた。
それも翠花の中では私に違和感を抱いてるだろうけど、優しい翠花はなにも聞いてこない。
こういう優しさには、本当助かっている。
翠花と別れて帰路について、さっきの会話を思い出す。
もらったスイーツ店のパンフレットを手に。
『一悠、今度これ食べに行こ』
『うん、いいよ』
笑顔で誘ってきた翠花、わたしもと話にのっかってきた友達。
そう……こういう楽しくて平穏な日々が続くことを私はD区へ行く前からずっと思ってた。
今も気持ちは変わらない。
変わらないけど……やっぱり……さびしいよ。
「悠」



