男装してるのにみんな距離が近いです


「気付いたか」
「竜琉くん、あの子……」
「ああ」

竜琉くんは頷くと、一歩前へ。

「わりぃな、榊。俺は一度見た顔はなかなか忘れないもんでね。……そこにいる男子が真面目ヅラして俺らにあえて情報を流しに来たことくらいバレバレなんだよ。どうせ取り返しに来るか来ないか、ゲーム感覚のしかけだったんだろうがな」
「竜琉くんあの時、あえて話に乗っかったの?」
「ああ。俺はD区で見た奴ならなおさら忘れねぇ。全くこっちの区とは無関係な奴か、新入りでも使えば見破られることなんてなかったのにな」

淡々と話していく竜琉くんに、榊くんからは笑みは消え、ようやく笑って閉じられていた目が開けられた。

「それに、ろくに事情も知らないただ情報を伝えに来た真面目男が"取り戻せるといいですね"なんて言うわけねぇだろ。知ってますって言ってると同じじゃねぇか」

──そういえば、そんなことを言っていたかも。私は情報の嬉しさで気にとめていなかったけど。