めぐり逢い 憧れてのち 恋となる【書籍化】

「大地さん」

寝室のベッドに並んで横になり、花穂は大地の胸に寄り添いながら顔を上げた。

「ん、なに?」

大地は右腕で花穂を抱き、左手でスルスルと花穂の髪をときながら優しく微笑む。

(大地さん、私の髪を触るの好きだなー。それにとろけそうなほど優しい顔してる)

ぽーっと見とれていると、大地が真顔になった。

「おい、言いかけてやめるな」
「え? なにを?」
「なにをって、花穂が話しかけてきたんだろ!?」
「あ、そうだった。ふふっ。だって大地さんの顔を見たら、見とれちゃったんだもん」
「なっ……」

大地はピタリと手を止めると、いきなり身体を起こして花穂に覆い被さった。

「ちょ、大地さん!」

指と指を絡められ、気持ちをぶつけるような大地のキスが降り注ぐ。

「んっ、大地さん……」

花穂はなんとか言葉を繋いだ。

「待って、もう、だめ……」
「花穂が煽ってるんだぞ」
「そんな、ちがっ……」
「じゃあ、先に話を聞く。なに?」

ようやく身体が離れて、花穂はホッと息をつく。

「あのね、織江さんの結婚パーティー、なにを着て行くの?」
「ん? 俺が? そんなの決めてない」
「そうなんだ。男の人ってスーツだもんね」
「ああ。花穂は?」
「うーん、どうしようかと思ってて。良さそうなの持ってないの」
「じゃあ今度一緒に買いに行くか」
「え、いいの? 嬉しい! お買い物デートだね」

笑いかけると、大地は真顔のままだった。

「大地さん? どうかした?」
「花穂、話はそれだけ?」
「うん、そうだけど」
「なら、おしゃべりは終わりだ」

そう言うと、またしても大地は花穂に口づける。

だんだん深くなるキスに、花穂はもう溺れるしかなかった。