めぐり逢い 憧れてのち 恋となる【書籍化】

数日後。
正式にホテル フィオーレの須崎支配人から依頼を受け、大地と花穂、そして大森の3人は打ち合わせの為にホテルに向かった。

「これはこれは、お越しくださってありがとうございます。オープニングセレモニーでは本当にお世話になりました」

ロビーで出迎えた須崎は、破顔して3人に握手を求めた。

「おかげさまでホテル フィオーレの第一印象はとても高評で、たくさんのお客様にご利用いただき、ご予約も毎日ほぼ満室です」
「そうでしたか。少しでもお力になれたのなら我々も嬉しく思います」
「本当はこのロビーのクリスマス装飾もお三方にお願いしたかったのですが、時期的に別の業者に頼んでしまっていたので。ですが今後はぜひとも、年間を通してお力添えをいただきたいと思っております」

詳しい話はお食事をしながら、と須崎は3人を個室のあるフレンチレストランに案内した。

「こちらは我が広報課が企画した年間イベントのスケジュールでございます。まだ大まかにしか決めておりませんが、ぜひともこの全てを皆様の手に委ねて盛り上げていただきたい、そう思っております」

食事が来る前に話をしておきたいと、須崎は早速テーブルに資料を広げた。

「こちらの希望といたしましては、やはりホテル名にちなんで花を絡めていただきたい。それだけです。あとは皆様のセンスにお任せいたします。日程が近くなりましたら、広報課の担当者がご連絡いたしますので、打ち合わせをお願いいたします」
「かしこまりました。それまでにこの資料をもとに、ある程度案を練っておきます」
「はい、どうぞよろしくお願いいたします」

丁寧に頭を下げると「どうぞごゆっくり」と言って須崎は仕事に戻っていった。