「須崎さんからご丁寧にお礼の電話があったんだ。ホテル フィオーレのセレモニーでは、本当にお世話になりましたって。フィオーレの花にちなんだ演出がとても素晴らしかったと喜んでくださった」
「そうでしたか。私もニュースで少しセレモニーが取り上げられているのを見ましたが、映像は花の光り具合もとっても美しかったです。大森さんと浅倉さんの技術のおかげです」
「いや、なによりも青山のデザインが素晴らしかった。それで須崎さんが、今後フィオーレでは花をテーマにイベントや装飾を考えていきたいと。それを全てチェレスタの3人、つまり大森と青山と俺に依頼したいとのことだった」
ええ!?と花穂は驚いて目を見開く。
「それって単発ではなく、今後もずっとホテル フィオーレに関わらせていただけるってことですか?」
「そうだ。イベントをプロデュースし、空間デザインを考えて演出する。季節や行事ごとにって話だったから、年間を通してのおつき合いになるな」
「す、すごい! あんな大きなホテルがビジネスパートナーに? すごくないですか?」
「なにを他人事みたいに言っている。デザインはぜひ青山さんにって、先方から指名されてるんだぞ? ひとまず俺に電話で相談されたが、これから会社を通して正式に依頼してくれるそうだ」
「そんな、私なんかで大丈夫でしょうか。須崎さんにとっては、初めて支配人となって手掛けるホテルですよね。並々ならぬ想いでフィオーレを背負っていらっしゃると思いますし」
「そうだな。オープンして最初の1年が勝負だ」
うっ……と花穂は言葉に詰まり、ナイフとフォークを置いてうつむいた。
いつの間にか笑顔が消える。
さっきまでは、ジュエリーショップのデザインについてわくわくしていたのに、今はフィオーレのデザインを担当するのを怖いと感じていた。
「青山」
大地に呼ばれて顔を上げる。
「またひとりでどっか行ってるだろ?」
「え?」
「言ったはずだ、お前はひとりじゃないって。忘れたのか?」
じっと瞳の奥にまで語りかけるような大地の眼差しに、花穂は言葉を失った。
「いいか、これからはうつむかずに隣を見ろ」
言われた通りに顔を横に向ける。
窓の外に綺麗な夜空が広がっていた。
「おい、そういう意味じゃない。少しは行間を読め……って、聞いてるのか?」
花穂は夜空に瞬く星を見ながら、ホテル セレストの記念式典を思い出す。
4人で取り組んだプロジェクト。
ホールいっぱいに広がった夜空。
頭上を流れる流星群。
キラキラと無数に輝く星と共に、ゲストの笑顔も弾けていた。
(またあんなふうに空間をデザインしたい。ひとりでは困難な道でも、仲間と一緒ならやり遂げられる。頼もしい浅倉さんがいてくれるなら、怖いものはない)
花穂はスッと気持ちが切り替わるのを感じた。
「浅倉さん」
真っ直ぐ大地に向き合って告げる。
「ホテル フィオーレのプロジェクト、一緒に挑みたいです。やらせてください」
大地はじっと花穂を見つめたあと、ふっと不敵な笑みを浮かべた。
「ああ、やろう。俺たちならすごいものを創造できる。やってやろうぜ」
「はい!」
二人でしっかりと頷き合った。
「そうでしたか。私もニュースで少しセレモニーが取り上げられているのを見ましたが、映像は花の光り具合もとっても美しかったです。大森さんと浅倉さんの技術のおかげです」
「いや、なによりも青山のデザインが素晴らしかった。それで須崎さんが、今後フィオーレでは花をテーマにイベントや装飾を考えていきたいと。それを全てチェレスタの3人、つまり大森と青山と俺に依頼したいとのことだった」
ええ!?と花穂は驚いて目を見開く。
「それって単発ではなく、今後もずっとホテル フィオーレに関わらせていただけるってことですか?」
「そうだ。イベントをプロデュースし、空間デザインを考えて演出する。季節や行事ごとにって話だったから、年間を通してのおつき合いになるな」
「す、すごい! あんな大きなホテルがビジネスパートナーに? すごくないですか?」
「なにを他人事みたいに言っている。デザインはぜひ青山さんにって、先方から指名されてるんだぞ? ひとまず俺に電話で相談されたが、これから会社を通して正式に依頼してくれるそうだ」
「そんな、私なんかで大丈夫でしょうか。須崎さんにとっては、初めて支配人となって手掛けるホテルですよね。並々ならぬ想いでフィオーレを背負っていらっしゃると思いますし」
「そうだな。オープンして最初の1年が勝負だ」
うっ……と花穂は言葉に詰まり、ナイフとフォークを置いてうつむいた。
いつの間にか笑顔が消える。
さっきまでは、ジュエリーショップのデザインについてわくわくしていたのに、今はフィオーレのデザインを担当するのを怖いと感じていた。
「青山」
大地に呼ばれて顔を上げる。
「またひとりでどっか行ってるだろ?」
「え?」
「言ったはずだ、お前はひとりじゃないって。忘れたのか?」
じっと瞳の奥にまで語りかけるような大地の眼差しに、花穂は言葉を失った。
「いいか、これからはうつむかずに隣を見ろ」
言われた通りに顔を横に向ける。
窓の外に綺麗な夜空が広がっていた。
「おい、そういう意味じゃない。少しは行間を読め……って、聞いてるのか?」
花穂は夜空に瞬く星を見ながら、ホテル セレストの記念式典を思い出す。
4人で取り組んだプロジェクト。
ホールいっぱいに広がった夜空。
頭上を流れる流星群。
キラキラと無数に輝く星と共に、ゲストの笑顔も弾けていた。
(またあんなふうに空間をデザインしたい。ひとりでは困難な道でも、仲間と一緒ならやり遂げられる。頼もしい浅倉さんがいてくれるなら、怖いものはない)
花穂はスッと気持ちが切り替わるのを感じた。
「浅倉さん」
真っ直ぐ大地に向き合って告げる。
「ホテル フィオーレのプロジェクト、一緒に挑みたいです。やらせてください」
大地はじっと花穂を見つめたあと、ふっと不敵な笑みを浮かべた。
「ああ、やろう。俺たちならすごいものを創造できる。やってやろうぜ」
「はい!」
二人でしっかりと頷き合った。



