「青山」
支払いを済ませて戻ろうとしたところで、通路の壁にもたれて立っていた大地に声をかけられる。
「このあとカラオケで2次会やるらしい。行くか?」
「あ、えっと……」
思わず視線をそらしてうつむいた。
行きたいけれど、これ以上気持ちを保てる自信がない。
(でも少しだけでも参加しないと)
そう思って顔を上げると、大地が先に口を開いた。
「俺はここで離脱してタクシーで帰る。お前のマンションと同じ方角だから、相乗りして割り勘にしてくれないか?」
「え、はい。それは構いませんが」
「じゃあ、大森に見つからないうちに行こう。ちょっと待ってろ」
大地はそう言うと部屋に入り、しばらくすると織江と共に戻ってきた。
「花穂、色々ありがとね。気をつけて帰って。また連絡するから」
「はい。織江さん、本当にお世話になりました。今まで私がチェレスタでやって来られたのは、織江さんのおかげです。ありがとうございました」
改めて深々とお辞儀をする。
「ううん。私も花穂のデザインからたくさん刺激をもらった。花穂、あなたのセンスには光るものがある。今はまだ蕾だけど、必ず花開く時が来るわ」
「えっ、まさかそんな」
「この私が言うんだから、間違いないの。いい? 花穂。自分を信じて、これからもひたむきにがんばるのよ」
「織江さん……」
抑えていた感情が溢れ、花穂の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
織江はそんな花穂をギュッと抱きしめて、優しく背中をさする。
「なにかあったら、いつでも連絡して。すぐに飛んでいくから」
「織江さん……。寂しくてたまらないです。でも私、もっともっと強くなりたい。織江さんに認めてもらえるデザイナーになりたいです」
「うん、花穂なら必ず素晴らしいデザイナーになれる。なんたって、私の愛弟子だもん。ね?」
最後は二人で顔を見合わせて、ふふっと笑った。
支払いを済ませて戻ろうとしたところで、通路の壁にもたれて立っていた大地に声をかけられる。
「このあとカラオケで2次会やるらしい。行くか?」
「あ、えっと……」
思わず視線をそらしてうつむいた。
行きたいけれど、これ以上気持ちを保てる自信がない。
(でも少しだけでも参加しないと)
そう思って顔を上げると、大地が先に口を開いた。
「俺はここで離脱してタクシーで帰る。お前のマンションと同じ方角だから、相乗りして割り勘にしてくれないか?」
「え、はい。それは構いませんが」
「じゃあ、大森に見つからないうちに行こう。ちょっと待ってろ」
大地はそう言うと部屋に入り、しばらくすると織江と共に戻ってきた。
「花穂、色々ありがとね。気をつけて帰って。また連絡するから」
「はい。織江さん、本当にお世話になりました。今まで私がチェレスタでやって来られたのは、織江さんのおかげです。ありがとうございました」
改めて深々とお辞儀をする。
「ううん。私も花穂のデザインからたくさん刺激をもらった。花穂、あなたのセンスには光るものがある。今はまだ蕾だけど、必ず花開く時が来るわ」
「えっ、まさかそんな」
「この私が言うんだから、間違いないの。いい? 花穂。自分を信じて、これからもひたむきにがんばるのよ」
「織江さん……」
抑えていた感情が溢れ、花穂の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
織江はそんな花穂をギュッと抱きしめて、優しく背中をさする。
「なにかあったら、いつでも連絡して。すぐに飛んでいくから」
「織江さん……。寂しくてたまらないです。でも私、もっともっと強くなりたい。織江さんに認めてもらえるデザイナーになりたいです」
「うん、花穂なら必ず素晴らしいデザイナーになれる。なんたって、私の愛弟子だもん。ね?」
最後は二人で顔を見合わせて、ふふっと笑った。



