女嫌いのスパダリと、2次元命な天才少女が、カップルVTuberをするようです。

 いろんな感情がぐちゃくちゃになって言葉を発せずにいると、また例のアンチさんからDMが来た。

『既読無視なんて何様のつもりですか?』

 あっ、と思っても時すでに遅し。
 秒で既読がついてしまう。

 次々とDMが送られてくる。

『今DM開いてるんだw返信すりゃいいのに』
『あっ、そっか、返信した文章スクショされて晒されたら困りますもんねーw』
『それじゃあおんなじ理由で通話も無理かw』
『それなら、8/11の21時に、××公園にてお待ちしてまーすwww』

 やたら私の反応を求めているけど、そもそも『お前ごときに叶方さまが愛称呼びを許すなんてありえない』『お前は叶方さまにふさわしくない』にどう返信しろと?

 文面からヤバさがにじみ出ている。

 どう考えても、無視するべきだった。
 でも――

「まさか、君は……」

 表情で見抜かれたんだろう。
 お父さんが、信じられないものを見るような目で私を見ていた。

 私はひるまず、お父さんをじっと見つめ返す。

 ――思ってしまったんだ。

 行きたい、って。
 会ってみたい、って。

 そう直感が告げていた。

 お父さんは厳しい表情で口を開く。

「行くのはダメだ。天地が何度ひっくり返ろうと、行かなかったせいでこのDMの送り主が怒って面倒なことになろうと」
「……っ!」

 きゅっと唇を引き結ぶ。

 理屈はよくわかる。
 ネット上で出会った人と会うのは、相手が優しそうな人であったとしてもやめるべきだ。
 女性だと思ってた人が男性だったとか、ネット上の友達と会ってそのまま行方不明だとか、割とある。

 それに、今回の相手は、優しそうな人ですらない。
 見るからにやばい人だ。

 ――でも、それでも。

 アンチさんが例の女生徒さんなら、一度話しておきたい。
 なんとなく、それが、かなくんの隣で笑っているために必要だと思った。

 だったら、すごく怖いけど、止められても、こっそり――

「行くのはダメだが、止めたとて君はどうせひとりで行ってしまうんだろう」
「!?」

 何でお見通しなんですかぁぁぁぁ!?

 驚きが顔に出ていたんだろう。お父さんは、かなくんそっくりの苦笑いをした。

「ならば、私がついていこう。これでも色んな武道の全国大会に出ているし、よくある修羅場程度なら守り切れる」
「あ、ありがとうございます!」

 そう言ってもらえるとは全く思ってなかったけど、すごく心強い。

 ……ん? 今、聞き捨てならないワードが大渋滞してなかった?
 色んな全国大会ってなに、よくある修羅場ってなに?

 かなくんのハイスペックはここから継がれたのかもなぁ。

「――それと、ひとつ条件を付けよう」