女嫌いのスパダリと、2次元命な天才少女が、カップルVTuberをするようです。

 そうだ、謝りたかったのにまだ何も言ってない……!

「あ、あのときはごめん! 無理やり圧かけて同居オッケーって言わせちゃったよね……」
「いや、それはべつにいいけど、その……Vチューバーって、あそこまで力説したくなるほどのものなのか……?」

 力説したくなるほどのもの、かぁ……。

 Vチューバー。
 Virtual(バーチャル)の頭文字Vと、とある動画サイトの投稿者って意味の単語を組み合わせた言葉。
 動画投稿やライブ配信をするときに、現実の身体の代わりに、仮想の身体を――コンピュータグラフィック(CG)、動かせるキャラクターイラストみたいなものを、映す人たちのこと。

 ……。

「私は、きみとイチャイチャ配信したら、絶対に面白いことが起きると思った。顔出しじゃなくて、Vチューバーがいいと思ったのも、何もかも、言ってしまえばただの直感だよ。だけど――」

 私は一瞬目を閉じて、胸に手を当てる。
 目を開ける。

「――私は誰よりも、私の直感を信じてる」

 叶方さんが、息をのんだ。

「私の直感、ずっと当たってきたからさ。お絵描きとかもそうだしね。
 だから私は力説した。……だけど、Vチューバーは、きみにメリットがなさすぎるかもしれない。女嫌いの克服に繋がると直感は告げているけれど、きみには私の直感を信じる理由がない。
 きみにとってVチューバーが価値あるものかは、わからないかな。
 ……ごめん、しゃべっててよくわかんなくなっちゃったんだけど答えになってる?」

 ぶっちゃけ頑張って考えながらしゃべったせいで頭がバクハツしそうなんだけど……。
 叶方さんがほんの少しだけ口角を上げた。

「ああ。十分だ。ちょうど配線も終わった」
「! ありがとう! 本当に本当に、助かりました……っ!」

 拝むように手を合わせる私。

「……それと、さ」
「?」

 叶方さん、どうしたんだろ……?

「両親を説得することができたら、Vチューバー、全面的に協力したいと思う」

 それって……!

「一緒にVチューバー、やってくれるってこと?」
「ああ。それと――設備代、俺が出すよ」