進路指導室で、愛を叫んで

 そのさらに半年後、夏葉義姉さんが結婚して家を出ていった。

 結婚式で、小春くんの兄・冬一郎さんに初めてお会いしたけれど、思わず笑ってしまうほど嫌みを言われた。

 お義母さんから事前に事情を聞いていた私は気にしなかったのに、小春くんがひどく怒って、危うく親族控え室で乱闘騒ぎになるところだった。

披露宴が終わると、冬一郎さん夫妻と娘の鈴美さんは足早に帰ってしまって、家に戻ってから小春くんはまた私を抱きしめて泣いていた。


 その一年後に私たちも結婚して、冬一郎義兄さんと小春さんは顔を合わせようともしなかった。

 代わりに奥さんがこっそり話しかけてくれて、やがて義姉さんたちと四人でお茶をする仲になった。

 数年後には息子の藤乃も生まれて、いろいろあったけれど、私たちは幸せに過ごしてこられたと思う。