もう一回、全神経を集中させて…、吐く!
女の子が、おぼつかない感じではあるものの、ゆっくり浮上する。
そして、崖を飛び越えて向こうの地面に着地した。
「やった…!」
普通に楽しかった。
…でも、こんな楽しんでて、喘息だったーなんてないよね。うん、そうに決まってる。
そうに…決まってる。
「検査結果が出ました。〇〇さん、お入りください」
一度待合室に戻ったものの、またすぐに呼ばれた私と母。
別に喘息とまではいかないと思う。
そう言い聞かせながら診察室に入ると、先生がいた。
「桃ちゃん、君は——」
何?
その間。
その間に、すごく嫌な予感がした。
「…この検査の君の数値は79。これはね、平均よりもすごく高いんだよ」
その予感は、当たってしまうことになる。
高い?
通常は60くらい?なんて思ったけど、甘かった。
「通常は、15〜20くらいだね」
え?
何?
めっちゃ高い、じゃん…。
がん、と頭を硬いもので殴られたような衝撃が走った。
「桃ちゃん、君は喘息だよ。吸入とかもこれから出るけど、頑張ろう」
吸入は知ってる。
妹が吸入をしていたから。
でもやり方は知らない。
吸入は、一種の薬。
気管(?)が悪い喘息の人たちの気管に直接薬を入れるとか何とか。
実を言うと、私は喘息の小説とかは読むくせに、喘息について全然知らなかった。
家に帰って、病院でもらった喘息についてのことを書くという手帳を開いて読んでみると、衝撃の一言が。
『通常の人は15〜20ppb。22ppbだと喘息の可能性あり。37ppbになるとほぼ喘息』
え。
じゃあ、79ppbの私は。
確実に喘息。
しかも重度。
なんとなくそれがわかってしまった。
ああ。
絶対、嘘だ。



