「色々考えてた」
大事すぎる大会を前に、思うところがあったのだろうか。
いや、そもそも大好きすぎるあの人が来るっていうのもあって、色々考えていたのだろう。
「おやすみ」
姉の会話に付き合うのも疲れてきて、そうとだけ言って寝た。
そこからはほとんど咳が出なかった。
次の日。
「今日病院行くよ」
「…え」
母に告げられた衝撃の事実。
「咳酷いから」
病院か…痛いことをされないといいな…。
小学生ながらにそう願った。
病院に着いて待合室で待っているとすぐに呼ばれてしまった。
子ども病院だから、結構先生は子供に慣れている。
検査を何回かして、先生が言った。
「喘息かもしれないので、一応喘息の検査しようか」
場所を移動した先には看護師さんが待ち構えていた。
「検査をするね」
白い、ちょっと細長いものを渡される。
その先には、丸いものがついていた。
検査の仕方は、少し面白そうなものだった。
アニメーション検査、というものらしい。
まず、肺の中の空気を全て吐き出し、白い細長いものの先についている丸いものをくわえて息を思いっきり吸う。
そして吐く。
だけど、ただ吐くだけではダメで、画面に映っている、崖の前にいる女の子が、空高く登って宇宙にいかず、崖に落ちない、ちょうどいい息の強さじゃなきゃダメらしい。
とにかく一度チャレンジしてみた。
まず息をとにかく吐き切って。
そしてくわえて、すうっと息を吸う。
画面の中の太陽が昇って行った。
そして思いっきり、吐く!
…っ。意外とこれ、難しい!
強すぎると思って弱めると、崖に落ちていった。
「あぁっ…」
終わった。
でもやり直しがきくらしい。



