親友のキミと、あと1ミリの恋



あれは、私が小学4年生だったある日の放課後。


クラスのみんなで校庭で鬼ごっこをして遊んでいたとき、私は転んで膝を擦りむいてしまった。


『……っ、痛い……』


他のみんなは私のことなんて気にも留めずに、そのまま遊び続けていたのに。


『美波!』


晴人だけが気づいて、私のそばに駆け寄ってきてくれた。


『おい、美波。大丈夫か?』


あのとき、彼は周りの目を気にせず、真っ直ぐ私だけを見てくれて。


さらに、絆創膏を貼って、負傷した膝の手当までしてくれた。


そのとき、私は「親友」としてだけでなく、晴人を初めて「男の子」として意識するようになったんだ。



───ずっと昔のことなのに、あの日の晴人の優しい笑顔と、私の膝に触れる彼の指先の感触が、今でも鮮明に思い出せる。


いま私の腕に触れている彼の温もりは、過去の記憶と重なって、私の心を激しく揺さぶった。


晴人の行動が「ただの親友」としての優しさなのか、それとももっと深い感情からくるものなのか、私には分からない。


ただ、落ち着きつつあった心臓が再び激しく動き始めたのは確かだった。