次の瞬間、私は強い力で腕を引かれ、彼の広い背中にぶつかった。
晴人は私の体を自分の背中に庇い、車道から遠ざける。
突然の出来事に、私の心臓は激しく脈打っていた。
「ったく……ぼーっとしてると、轢かれるぞ!?」
晴人は、少し眉をひそめながら私のほうを振り返った。その表情には、私を叱るような厳しさの中に、深い安堵の色が混じっている。
「ごっ、ごめん、晴人……」
「いいよ、気にすんな」
そう言いながら、彼は私の腕をそっと掴み直した。
そして、私の腕を引いた拍子についたであろう小さな擦り傷に気づくと、晴人の表情が再び険しくなる。
「傷、大丈夫か?」
「う、うん」
私が答えると、私の腕の小さな擦り傷の上を彼の指先が優しくなぞった。
「はぁ、美波が無事で本当に良かった……」
ほっとしたようなその言葉が、私の耳元で響く。
私の腕に触れるこの温もりは、決して「ただの親友」に向けられるものじゃない……そう思いたい。
───そう思った瞬間、脳裏にふと、小学生の頃の記憶が蘇る。



