「なあ、美波。俺たち、幼なじみで親友で、今までずっと一緒だっただろ?」
「うん」
私が小さく頷くと、晴人は優しい眼差しで私を見つめ、少し照れたように微笑む。
「これからは、幼なじみで親友で、そして、恋人だ」
その言葉に、私の胸は喜びでいっぱいになった。
「ああ、やっと言えたな……」
晴人の声は、私の肩越しに少し震えながら呟かれた。
温かい腕に包み込まれ、彼の心臓の音がトクン、トクンと、落ち着きを取り戻していくように聞こえてくる。
まるで、迷子だった二つの心が、ようやくお互いの居場所を見つけたかのように。
「うん……」
私は晴人の背中に回している手に、力を込める。
「ありがとう、晴人。私も、ずっと晴人に言いたかった」
夕日が教室をオレンジ色に染め上げる中、二人だけの空間に、新しい始まりの予感が満ちていた。



