夢じゃない。長年、ずっと胸の奥に閉じ込めてきたこの想いが今、通じ合うことができたんだ。
込み上げてくる熱いものをこらえきれず、私の目からは大粒の涙が溢れ出す。
「美波は? 俺のこと、どう思ってる?」
「わたし、は……」
一度深呼吸してから、ちゃんと言葉を整理して伝える。
「……うん。私もずっと、晴人のことが好きだった。でも、親友じゃなくなるのが怖くて、ずっと好きだって言えなかったの……」
涙声になりながら、自分の正直な気持ちを告白する。もう嘘はつけなかった。
「ごめんな」
晴人が、私の目元の涙を親指でそっと拭ってくれる。
「俺が無自覚すぎて、今まで美波に辛い思いを沢山させてきたんだな」
私は首を横にふる。
確かに、辛い思いをしたこともあったけれど。
晴人を想う時間は、幸せなことのほうが多かったから。
「俺……これからは、もっとお前のことちゃんと見てるから」
はにかんだ笑顔でそう言って、晴人は私の手を優しく包み込んだ。彼の体温が、私の手にじんわりと伝わってくる。
「だから、親友、じゃなくて……これからは……」
晴人は言葉を選び、私の手を握りなおす。



