「美波が脚立から落ちそうになるのを見た瞬間、俺……心臓が止まるかと思った。頭の中が真っ白になって、何も考えられなかった」
彼の表情は、真剣そのものだ。
「俺、美波のことは幼なじみで、ずっと仲の良い親友だって思ってた。でも、今日……お前のことが誰よりも大切だって、はっきり分かったんだ」
晴人の言葉に、私の心臓が大きく跳ね上がる。
今まで、私だけが一方的に想いを寄せているのだと信じて疑わなかった。
けれど、彼が口にした「誰よりも大切」という言葉が、私の心に希望の光を灯す。
そして、晴人は私の目を真っ直ぐに見つめて、ゆっくりと口を開いた。
「……俺、美波が好きだ」
うそ……。
晴人の真っ直ぐな言葉は、私の心に深く、優しく響いた。
ずっと待ち望んでいた言葉を、まさか晴人の口から聞ける日がくるなんて。
「晴人が、私を好き……?」
信じられなくて、思わず私は聞き返す。
「ああ。俺は、美波のことが好きだ」
「……っう」
視界がにじみ、私の口からは嗚咽がもれる。



