「私、転校してきて、新しい友達ができるか不安だったから、真田さんみたいに可愛くて明るくて、誰からも慕われる子と仲良くなりたいって思って……それで、つい、石川くんの近くに行けば、真田さんとも話せるかなって……」
谷原さんは少し頬を赤らめて、うつむき加減に続けた。
彼女の告白は、私の想像とは全く違っていた。
谷原さんは、「恋のライバル」なんかではなかったのだ。
「ごめんね、谷原さん。私、ずっと勘違いしてた……」
私が呟くと、谷原さんは優しく微笑んだ。
その笑顔は、これまでの彼女とは比べ物にならないくらい温かく、親しみやすかった。
「ううん、私もごめんね。もしかして、変な誤解させちゃったかなって、ずっと気になっていたの」
このとき私は、二人の間に、ようやく本当の友情が芽生え始めたのを感じた。
「これからは真田さんのこと、美波ちゃん……って、呼んでもいいかな?」
「うん。もちろん」
谷原さんへの嫉妬が消えたことで、私の心は驚くほど軽くなった。そして、晴人への想いが、より一層クリアに見え始めた。
「美波ちゃん。今度、良かったら二人で遊びに行かない?」
谷原さんの言葉に、私は心からの笑顔で頷いた。



