親友のキミと、あと1ミリの恋



秋が深まり、校内では来月末に開催される文化祭に向けての準備が本格化してきた。


「今日は、文化祭のクラスの出し物を決めようと思う」


ホームルームで、担任の先生がみんなに声をかける。


「はい! 私、メイド喫茶がいいです」

「俺は、演劇やってみたいなー!」


教室では、クラスメイトの様々な意見が飛び交う。


「ねえ、お化け屋敷とかどう? 去年の文化祭で、お化け屋敷が大人気だったから。それにしない?」

「いいね。去年のものに負けないくらい、みんなですごいの作ろうよ!」


誰かがお化け屋敷の提案をすると、クラスが一気に盛り上がる。


「準備は大変だろうけど、みんなで協力すればきっとできるよ!」


そんな声も上がり、最終的に多数決で私たちのクラスの出し物は「お化け屋敷」に決定した。


そして、役割分担は公平にくじ引きで決めることに。


「衣装係は、西川と田中。メインの装飾担当は……真田!」


担任の先生がくじ引きの結果を発表していく中で、私の名前が呼ばれた。


「装飾係は、真田と……石川だな」


──ドクン。


先生の声に、心臓が一拍跳ね上がった。


『石川』ってことは、つまり……私と晴人が同じ係ってこと?