親友のキミと、あと1ミリの恋



地元の秋祭りは私たちにとって、毎年当たり前のように話題に上る、ささやかな秋の約束だったのに。


晴人ってば、どうして谷原さんと一緒に行ったりしたの?


……ううん。元はと言えば、彼を誘えなかった私が悪い。


私が言い出せなかった数日の間に、谷原さんは、私がいたはずの晴人の「親友」という特等席に、あっという間に滑り込んでいったんだ。


いや、もしかしたら、彼女はもう……親友以上の存在になっているのかもしれない。


脳裏に、谷原さんが晴人の腕を軽く叩いていたあの仕草が蘇る。私には決してできない、あの自然なスキンシップ。


ねえ、晴人。どうして私じゃなくて……あの子なの?


行き場の無い感情が、胸の中で嵐のように荒れ狂った。


それは、誰かに向けた嫉妬でも、ただの悲しみだけでもない。


ただ、どうすることもできない自分の不器用さへの、深い絶望だけが私の心を支配していた。