「美波のおかげで、難しい応用問題も解けたわ。サンキューな」
「……っ!」
晴人のキラキラした笑顔に、私の心臓がギュンと音を立てる。
「ん? どうした、美波。顔が赤いぞ?」
「う、うるさい! 晴人が急に褒めたりするから……!」
私の心臓は、バクバクだった。
「ふーん、そっかそっか」
晴人は白い歯を見せ、楽しそうに笑う。
「美波チャンは、俺の言葉に照れちゃったわけだ」
そう言って、彼はぐっと顔を近づけ、私の目を覗き込んできた。
晴人の整った顔が突然ドアップになり、彼の吐息がすぐ近くで感じられる。
「美波も、可愛いところあるじゃん」
「~っ!」
あまりの至近距離に耐え切れず、私はとっさに晴人の胸を軽く押した。
「もっ、もう! バカなこと言ってないで、早く勉強の続きやるよ」
「はーい」
ニコニコと再び問題集に取り組む晴人を見ながら、私は心の中で小さくため息をつく。
晴人のくせに、可愛いとかそんな甘い言葉、ずるいよ。ほんと、心臓に悪いから。



