「皆の前で、凛としていた。……誇らしかったよ」
その言葉に、セレナは目を伏せる。
「……緊張で、脚が震えてたんです。でも……あなたが見ていてくれると思ったら、怖くなくて」
アグレイスは微笑み、セレナの頬にそっと触れた。
「これからも、そなたが誰かに試される日が来るかもしれない。だが、わたしの隣は常に空けてある。何があっても、その場所は変わらぬ」
その瞳は、まっすぐにセレナを映していた。
「……あなたの番妃でいられるように、もっと頑張りたい。もっと、強くなりたいんです」
静かな声に、アグレイスは頷き、やさしく抱きしめる。
その胸の中にいるときだけは、すべての緊張も、声なき悪意も、届かない気がした。
そして、そっと囁かれた。
「そなたがわたしの隣にいること――それこそが、わたしの誇りだ」
それは誓いのような愛の言葉。
涙が、静かにセレナの瞳から溢れた。
この王宮で、どんな嵐が待っていようと。
この胸にある想いが、ふたりを強く結び続けると信じられた。



