数日後。
ついに、セレナの“お披露目の儀”が行われることとなった。
王族と重臣たちの前で、王の番妃として正式に紹介される儀式。
会場の大広間は、蒼銀を基調とした装飾で彩られていた。
貴族たちの視線の中、セレナはゆっくりと歩み出る。
その一歩一歩に、かつての自分なら震えていたかもしれない。
だが今は違う。
(私は、選んだ。この人の番妃になると)
王座の横に立つアグレイスと目が合った瞬間、
不安はすべて、ひと筋の光になって消えていった。
「これより、アグレイス殿下の番妃・セレナ=ヴェステリアを、正式にこの宮廷に迎える」
宣言と共に、場内に拍手が湧いた――が、その中に、ひときわ静かな視線がある。
リディアだ。
彼女は微笑を浮かべたまま、何も言わずセレナを見つめていた。
まるで、何かを測るかのように。



